天国の調べ

bearsmick2013-05-23

新譜が出ると聴きたくなる、出来れば即買いたくなる、気になるミュージシャンがいます。歌ものを演奏する細野晴臣さんも僕にとってはそんなミュージシャンの一人です。特に我が国のミュージシャンの中ではダントツといっていい存在でしょうか。
一般的にはYMOの活動で知られているかもしれませんが、僕にとってはやっぱりはっぴいえんど」の細野さんで、当時(1970年初期)は売れなかったものの、そのアメリカン・ロック・テイストのバンド・サウンドやグルーヴィーなベース・プレーが新鮮でした。もちろんその後のキャラメル・パパ〜ティンパンアレーの時期も大好きです。
そんな細野さんが、2年ぶりに新譜「Heavenly Music」を発表されました。僕は近所のCD屋さんに予約していたので、今日取りに行って来ました。
前作「HOSONOVA」に続いて今回もアコースティックな香りのする歌ものアルバムです。最近一緒にライヴを演っている、比較的若手のミュージシャンたちと、一見シンプルに思える音作りなんですが、そこはさすがに細野さん、よく考えられた音作りがなされれいるようです。なんというのか、煩さが無い、ふくよかな調べとでもいうのでしょうか、タイトルの「天国の音楽」さもありなんという感じです。
今作は、カヴァー集でバート・バカラックや古いカントリー/ブギ・ナンバーをはじめザ・バンドボブ・ディランといった楽曲が選ばれていて、そんな曲が好きな僕が嫌いな訳がありません。曲によってはゲスト・ミュージシャン/シンガーを迎えて細野さんならではのカヴァーをより効果的にしています。
自分が好きな、そして後世に残すべき楽曲をカヴァーすることは、ミュージシャンにとっては楽しくてやりがいがある作業だと思います。自分が信じられる自分の世代/世界のスタンダードたる楽曲を表現していきたいとも思います。
この作品は、音の良さはもちろんのことブックレットを含め、丁寧に作られたアルバムだと思います。キャッチ・コピーに「この世で聴ける『天国の調べ』〜天国で大ヒット!」とあるのですが、この世でも繰り返し繰り返し聴きたくなるような出来です。(笑)
今まではあまり政治的な感じはしなかった細野さんですが、今回のアルバムには3.11以降の世界、原発問題を見据えたアティトュードというかコメントが添えられています。声高に叫ばなくても自身の音楽で表現することもまた、天国へと続く道なのかもしれません。