ジャグ・バンド・ミュージック

bearsmick2013-03-19

毎年3月に、ベアーズ・カフェにやって来て素敵なライヴを行ってくれたMOONEYは、我が国のジャグ・バンド・シーンの顔役とも言える存在で、毎年横浜で行われている「ジャグ・バンド・フェスティバル」も今年4月で12回目を迎えるそうです。そして今回は、アメリカからジム・クエスキン・ジャグ・バンドも参加するそうで、一層の盛り上がりを見せることは必至でしょう。
残念ながら僕は、今年もまた参加することは出来ないのですが、友人のあるぽ君は、そのジム・クエスキン・ジャグ・バンドの単独公演を観に上京するそうで、羨ましい限りです。

そもそもジャグ・バンドは1920年代にメンフィスを中心とした南部で盛んになった音楽形態で、ちゃんとした楽器ではなく、ジャグ(大きな取っ手付き瓶)やウォッシュ・ボード(洗濯板)、ウォッシュ・タブ・ベース(洗濯タライにモップの柄をつけてワイヤーを張ったもの)などを使って演奏していたものです。もちろんそれだけではなくギターやバンジョーマンドリンフィドル(バイオリン)といったストリングス・バンドでも使われていた楽器やハーモニカ、カズーといった楽器が入ることも多かったようです。が、基本的には手軽な楽器を使って演奏される(当時の)黒人ポップスということになるのでしょう。
当時の黒人音楽系のポップスというとジャズやブルース、ラグタイムというモノが多かったのですが、1960年代に入ってのフォーク・リバイバルの一環として、ジャグ・バンドにも脚光が当たることになり、そのリバイバル・ジャグ・バンドの筆頭ともいえるバンドがジム・クエスキン・ジャグ・バンドな訳です。実際、僕も1970年代初頭になって彼らのLPでジャグ・バンドを知ったのですが、70年代中期には、もうMOONEYは横浜でアンクル・ムーニーというジャグ・バンドで活動していましたから、流石ですね。
現在僕が唯一定期購読している音楽雑誌「ブルース&ソウル・レコーズ」の最新号はそのジャグ・バンドの特集でした。毎号、付録としてその号で特集された音楽の優れた音源のコンピCDが付いてくるのですが、今号はいつもに増して勝ちがあるCDだと思います。だって一般的にはジャグ・バンド・ミュージックは知られていないと思いますからね。
僕らが当たり前のように聴いている、知っている60年代のロック・バンドの多くも実はジャグ・バンドに影響を受けたものが多いです。イギリスではスキッフルと呼ばれていた音楽はジャグ・バンドの兄弟のようなもので、ビートルズの前身であるクォーリーメンもそこから出発したし、僕が大好きなバンド、グレイトフル・デッドもまたジャグ・バンドから発展してきたバンドです。他にもジョン・セバスチャン(最近もJ・バンドというジャグ・バンドをやっているかも?)のラヴィン・スプーンフルなどもそうでした。
という訳で身近に音楽を楽しむことが出来るジャグ・バンド・ミュージックを、もっとたくさんの人にも聴いてもらいたいものです。そして21日(木)には、MOONEYと共に、現在の我が国を代表するジャグ・バンド「マッド・ワーズ」でマンドリンやスライド・ギターを弾いている日倉士歳朗のライヴもあります。日常生活に音楽を!きっと豊かな生活を送ることが出来るようになると思いますよ。(笑)