音楽は自由にする

bearsmick2010-07-14

昨年、尾城君が「今度出る坂本龍一の本は面白いよ。マストだよ。」って言ってました。そして人吉市の図書館にリクエストして入れてもらったそうです。もちろん彼はすぐに読んだのでしょうが、僕が図書館に行った時にその本があったためしはありません。わざわざ順番待ちのリクエストをするでもなし、そのまま時間だけが過ぎ去って行ったのでした。
先週久しぶりに行った図書館、軽い小説を3冊選んだところで、その坂本龍一の本(タイトルも忘れていたのですが)のことを思い出し、音楽関係の棚に行くと初めて見つけることが出来ました。
細野晴臣さんのファンである僕は、もちろんYMOのそのデビュー時からLPを買って聴いていたのですが、1970年代後期という時代もあって、そのテクノ・ポップがまだよく分からなかったのでした。なのでドラムの高橋ユキヒロさんはサディスティック・ミカ・バンドで知っていたものの坂本龍一さんのことはほとんど知らなかったのと同然でした。
もちろんその後は、それなりに聴いてきたし、1980年代は映画「戦場のメリークリスマス」や「ラスト・エンペラー」といったヒットもあって、より親しみやすくなっていました。
ところでこの本「音楽は自由にする」は、坂本龍一本人が自分の半生を語る形で編纂されたもので、幼少時代から現在に至るまでのことがある程度赤裸々に語られています。
東京芸大音楽楽部作曲科という経歴から、僕とはあまり接点もないように思っていた部分が大なのですが、高校時代(有名な都立新宿高校)はヘルメット被って学生運動に勤しみ、大学に入っても美術学部の学生とデモに参加してきたその経歴は、なんとなくシンパシーを覚えたりします。そういえばヘルメット被ってピアノを弾いていたなんて噂も伝説として世間に流布されているようで、僕もどこかで聞いたことがありました。
最近でも六ヶ所の問題とか輸入レコードの問題、環境問題などに関わっていらっしゃるので、実際真面目で社会的な人なんでしょうね。
というのもYMOが大人気だった頃、何度かお見かけしたことがあって、当時の噂では「酒好きで女たらしだ」なんて言われていたんですよ。(笑)確かに他の二人はお酒を飲まなかったのに坂本さんだけはいつもバドワイザーをビンのままラッパ飲みされていたものでした。
その後は、現代音楽的なアプローチやクラシック音楽系のものなど世界中の音楽やミュージシャンたちと、それこそ自由に活動されていらっしゃるようですが、残念ながら僕はちゃんと聴いていません。
偶然か必然か、閑な夜に細野さんとユキヒロさんのユニット「スケッチ・ショー」のヴィデオをDVDにしていて観てたのですが、そこにYMO時代の確執も解けたであろう坂本さんの姿もありました。世界のテクノ・ポップ・シーンにおいてYMOの存在は大きかったはずです。僕自身はあまりテクノ・シーンとは接点も興味もなかったのですが、当たり前に音楽の自由という意味で、納得出来ます。
「音楽は自由にする」というタイトルは、音楽が自分を自由にしてくれるのと自分は自由に音楽で表現するという両方の意味を兼ねているんですかね。ともあれ、あまり頑なにならず自由(もちろんそこには責任が伴います)に自分の生を生きるということが出来たら良いなと思いました。