ディラン&デッド

bearsmick2010-06-03

今年3月の来日公演に繋がる「ネヴァー・エンディング・ツアー」をディランが始めるきっかけになったのが、1987年に行われたグレイトフル・デッドとのジョイント・コンサート(ディランのバックもデッドが努めたもの)だということは、ディラン・ファンにとっては当たり前の事実だと思うのですが、その時のライヴはオフィシャルでは「ディラン&ザ・デッド」のタイトルで出されたCD一枚でけで、その内容はというと悪くはないもののどうもイマイチといったものでした。もっとも当時の僕は、好きなそして影響を受けたミュージョシャン/バンドのコラボレーションだったのですから、無理しても好きになろう/良いと思おうとしていたものでした。(笑)
ディラン本人が自伝の中で書いているように、当時のディランは音楽活動に疲れ落ち込んでいた時期だそうです。それがデッドと一緒にツアー&コンサートをすることで、何かが吹っ切れたのでしょう、そしてデッドのライヴに多大な影響を受けたのでしょう、翌年の88年から現在まで、年100本にも及ぶコンサート・ツアー「ネヴァー・エンディング・ツアー」を始めることになったのでした。
トラディショナル曲や他人の曲のカヴァーを含め、ライヴならではの楽しさを聴衆に届けてくれるその姿は、確かにデッドと相通じるものがあります。
先ほど、オフィシャルで発表されたCDは、イマイチだったと書きましたが、相当長時間に渡って行われたライヴの模様をたった一枚のCDに収めることはやっぱり無理があると思うのです。とりわけデッドのようなインプロゼーションを含むライヴ・バンドの場合は尚更です。
実は、そのツアーに向けてのリハーサルをデッドの本拠地であるサン・ラファエルのクラブ・フロントで行った時のCDが3枚組「ザ・フレンチ・ガール」というタイトルで出ています。もちろんコレはアン・オフィシャル盤、イケナイCDではあります。が、ここで聴ける演奏は良いのです。たおやかなデッドの演奏に乗ってディランも楽しそうに伸び伸びと歌っています。そしてデッドならではのブルー・グラス風味の演奏も聴くことが出来、昨日書いたようにディランのルーツ好きも垣間見ることが出来ます。もちろんデッドのジェリー・ガルシアが元々ジャグ・バンド〜ブルー・グラス・バンドの出自だということも大きいのでしょう。
そういえば、そのツァーの後、デッドに入りたいと言ったディランでしたが、バンド・メンバー全員の了解が必要な民主的なデッドで唯一ベースのフィル・レッシュの反対があったそうで、結局デッドのメンバーになることはなかったのですが、結果ディランは現在に至るまで現役を続けることが出来、今世紀に入ってからの充実した作品も出し続けることが出来ているのですから、結果オーライといったところなんでしょうね。
今夜は、1999年のアメリカでのコンサートDVDを観ていたのですが、そこにはそのフィル・レッシュがゲストとして出演していました。仲違いした訳ではないようなので、ファンとしては一安心です。(笑)
ちなみに「ザ・フレンチ・ガール」のジャケット写真、残念ながらデッドと一緒のものではありません。前年のトム・ペティ&ザ・ハートブレーカーズと一緒の時の写真を使われているようで、なんだかなぁ!さすがイケナイ盤であります。(笑)