高田渡とユーミン

bearsmick2010-02-24

某国営放送で放映された番組を録画して観たのでした。高田渡のは今夜が最終回の教育TVでの4週連続の番組で、故・高田渡のフォーク人生を紐解くという趣旨のもの。一方のユーミンは1973年のデビュー作「ひこうき雲」を当時のディレクター、エンジニアに演奏を受け持ったキャラメル・ママの面々(ギターの鈴木茂の姿がないのが淋しい。事件が尾を引いてるなぁ・・・。)、そしてもちろんユーミン本人も加わって、その音を解読するというものでした。
高田渡さんとは実際に面識はなかったのですが、僕にとって我が国のフォーク・シンガーの中では、もっとも信頼できるミュージシャンの一人で、凄いファンと言う訳ではなかったもののその動向、作品にはそれなりに接してきたつもりです。特に自分が若かった頃は、アメリカの古い音楽と現代詩とのミクスチャーなど相当に影響を受けたものでした。写真は1969年に発売された渡さんの2枚目のLPで、僕が最初に買った渡さんのものです。
番組では、あまりにも民衆の歌とか反抗のシンガーとかに焦点が当てられているように思いました。確かに渡さんの歌には庶民の視点や体制や権力に対する辛らつでユーモアがある歌も多かったのですが、プロテスト・シンガーというよりは、研ぎ澄まされた言葉をシンプルなメロディーにのせて歌うといった、僕が思うフォーク・シンガーとしての要素が強かったように思います。
我が国でフォークというと、どうしても僕が嫌いなあっちの世界のほうが大勢を占めるのですが(笑)、僕にとっては渡さんこそがホンモノのフォーク・シンガーでした。けっこう現代にも通じる歌世界ですし。
番組に対する思いはあるにしろ、この番組を観て興味を持って渡さんの歌を聴いてくれる人が一人でも増えることを願います。
ユーミンの番組は「マスター・テープス」と銘打たれたもので、かつて海外のもので同じような作品がヴィデオ/DVDで出されていました。僕もグレイトフル・デッドザ・バンドボブ・マーリーなどのものを持っています。
当事者たちがその当時の音源を聴きながら、ああだこうだと話すのですから面白くない訳はありません。当時としては破格の1年もの時間を費やしたという「ひこうき雲」のレコーディング・セッション、今聴いても凄くお洒落でイカシています。やっぱりキャラメル・ママって凄いミュージシャンの集まりだったということが分かります。
はっぴいえんどを知らなくて、ブリティッシュ・ロック少女だったユーミンとバリバリのアメリカン・ロック派だったキャラメル・ママの面々が一緒にこのような名盤を作り上げたのも面白いものです。なんでもレコーディング中盤くらいからユーミン松任谷正隆が付き合いだして、自然と融合していったとか。現在もご夫婦の当人たちからの発言ですからこれは真実ですね。(笑)
実をいうと、僕がユーミンを好きなのは荒井由実時代です。松任谷由実になってからは、あまり好きではありません。もう一度このメンバーで作ってもらえないですかね、ちょっと聴いてみたい気もします。
そうそう鈴木茂の代わりなのか、そのアルバムに2曲だけ参加していたペダル・スティールの駒沢さんが、そのレコーディングに満足していなかったということで、そのマスター・テープと共に新しくプレーしていました。このリミックス・アルバムも聴いてみたい気もしますね。もっとも久しぶりに聴いた「ひこうき雲」今でも全然いけますよ。
そうそう接点がなさそうな、今日取り上げた二人のミュージシャンですが、共に細野晴臣さんが絡んでいます。僕が好きな日本の音楽のキーマンだな細野さん、やっぱり。