キヨシロウ

bearsmick2009-05-15

キヨシロウが亡くなって2週間が過ぎ去ろうとしています。珍しくNHKも素早い対応で2本ほどの特番が放送されました。その中の「SONGS」での昨年2月に放送されたスタジオ・ライヴ(TVでの最後のライヴ)の完全版が放送されたので、録画して観ました。この2週間後に武道館で「完全復活祭」コンサートが行われて、DVD化されたその作品は持っていて以前ここでも取りあげたことがありました。
僕がキヨシロウを好きだというと怪訝そうに思う人もいらっしゃるようですが、彼ほどメイン・ストリームのポップ/ロックの世界からカウンター〜サブ・カルチャーのロックまでをフットワーク軽く駆け抜け、その時代時代で物申してきたミュージシャンは少ないと思います。もちろん僕は彼のキャラクターも含めて音楽も大好きでした。
そういえば、大学受験で上京した1972年の2月、受験勉強そっちのけでコンサートに行きまくっていた時、青山タワー・ホールでのRCサクセションのコンサートにも行ったものでした。確か前座が井上陽水だったけな。ひょっとしたらちゃんとしたコンサートの初体験がこのまだフォーク時代の3人組RCサクセションだったかもしれません。
とは言うもののずーっと追いかけていた訳でもないのですが、その都度、時代の変わり目でRCサクセション/キヨシロウにはめぐり合ったものでした。特に友人を迎えに行った羽田空港で聞こえて来た「雨上がりの夜空に」には、ロック・サウンドになっていたのも関わらず一聴してキヨシロウの声だと分かって興奮したものでした。
RCサクセション時代にもたくさんの名曲があるのですが(「トランジスター・ラジオ」や「スロー・バラード」は特に好きな曲です。)、1988年に出した往年の欧米のロックの名曲を自分なりに解釈した「カヴァーズ」は僕にとっても大きな存在のアルバムです。その内容から当時のレコード会社が発売を拒否したのも関わらず、別の会社から出されたこのアルバムは、ロックとは何か?表現の自由とは?といった問題意識を投げかけたものでした。その続編にあたるライヴ・アルバム「コブラの悩み」ともども、是非みなさんにも聴いて貰いたいものです。
RCサクセション解散後もいろんなバンドやユニット、ソロで精力的に活動してきたキヨシロウでしたが、ほんと我が国で信用できる数少ないミュージシャンの一人であり続けました。ということで、僕が好きなアルバムを一枚紹介しておこうと思います。
1992年に発表された「メンフィス」は、キヨシロウに多いに影響を与えたオーティス・レディングをはじめとしたサザンソウルの聖地、アメリカのテネシー州メンフィスで作られたアルバムです。バック・ミュ−ジシャンはもちろんスタックス・サウンドを支えたブッカーT&MGズの面々。(その後このメンバーでのライヴも行い、作品化もされました。)シンプルなソウル・サウンドに呼応するかのように、いつもの派手な衣装も渋い(僕と同じような、笑)カジュアルなファッションになっているのも良いですね。(笑)
このアルバムのなかでも歌われているように、メンフィスの名誉市民になったキヨシロウ、最高のソウル・マンです。