マエストロ

bearsmick2008-11-18

今月初めに11年ぶりに東京へ行ったことは、ここでも大喜びで書いたのですが、その時に行ったレコード/CD店では、田舎と違ってあまりにも大量の品物があるので、どれを買っていいのか分からなかったり探すのに一苦労したりで(昔は毎週1,2回は行っていたのにね。笑)、結局買ったのは2枚(セット)だけでした。もちろん貧乏が身に染み付いているので、昔のようなオトナ買いが出来なかっただけですが。(笑)
そのうちの一枚が、大好きなミュージシャン、タジ・マハールの新譜「マエストロ」です。僕がどのくらいタジ・マハールが好きかというと、彼の初来日時に、わざわざレコードを持って会いに行ってサインを貰ったくらいです。もっとも英語が堪能ではない僕は、せっかくツテを頼って会えたものの満足に会話も出来なくて、「これにサインしてください。」とLPを差し出し、「どうもありがとうございます。」とやっと言えたくらいでしたが。(このLPジャケットはベアーズ・カフェの壁に飾ってあります。)
ともあれ、タジが新譜を出す度に買うといったファンをここ何十年も続けている訳で、今回もたくさんの中から、このアルバムを見つけた瞬間、即買い!に至った訳です。
この「マエストロ」(大家とか巨匠とか言う意味ですよね。確かに僕にとってはそうであります。)彼のデビュー40周年記念の作品だそうで、彼がこれまでやってきた音楽がふんだんに詰め込まれています。そしてこれまた僕が好きなミュージシャンたち、例えばロス・ロボスベン・ハーパーといった人たちとコラボした作品が入っています。
タジ・マハールアメリカの黒人ミュージシャンなのですが、ブルースやR&Bをベースにしているのはもちろんのことながら、いち早くカリブやアフリカ、ハワイまでも視野に入れた音作りをしてきた人で、僕らの目と耳をワールドワイドに広げてくれた人でもあります。デビューしたバンド「ライジング・サンズ」には、若き日のライ・クーダージェシエド・デイヴィスといったこれまた僕が大好きなミュージシャンが在籍していたこともポイントが高いところです。
今回の作品にももちろんブルースを初めレゲエ、カリビアン、アフリカンな音楽がまるで幕の内弁当いや松花堂弁当のような豪華さでぎっしり詰っています。そして嬉しいことに音が太くて迫力あるサウンドが楽しめるのです。さらに嬉しいのはノスタルジーに陥ることなくある種プログレッシヴな感覚も忘れていないこと、堂々たる現役感があることです。
めっきりと寒さを増してきた今日この頃、そして世の中の不景気にベアーズ・カフェも寒々とした空気が流れる中、僕はこの素晴らしいマエストロの音楽を聴いて、ちょっとばかりの元気と幸福感を味あわせてもらっています。