細野さん、これは傑作ですよ。そんなに恥かしがらないで。

bearsmick2007-11-05

昔から好きなミュージシャン/シンガーの一人にハリー細野こと細野晴臣さんがいます。URCレコードでのバッキングやはっぴえんどの活動でファンになり、ソロ/ティンパンアレー時代の所謂トロピカル三部作といわれる作品は大好きです。その後のYMO、テクノ期は、時代によって聴いたり聴かなかったりすることもあったのですが、基本的には細野さんが作り出す音楽には興味を持って対峙してきたように思います。
最近はまた、実質YMOであるHAS(ヒューマン・オーディオ・スポンジ)と合体しての名義HASYMOでの活動や東京シャイネス名義でのライヴ活動など還暦を迎えるに当たっての元気な活動が盛んになって、ファンである僕も嬉かったものです。特に狭山ハイドパーク・フェスティヴァルから始まった?東京シャイネスでの生な音楽は、僕の気分にもマッチしてたのしいものでした。
さて今年の9月26日といううちの娘の誕生日に発表された新譜「フライング・ソーサー1947」はハリー・ホソノ&ザ・ワールド・シャイネス名義ですが、最近のライヴを共にしているミュージシャンとのライヴ感あふれる作品に仕上がっています。
還暦記念という話もあったようですが、UFOのロズウェル事件が起きたのがホソノさん誕生日と同じ1947年7月9日ということで、それを記念したイベントも東京の日比谷野音で行われたのは、ネットやその他の情報で知り、行けないのが残念で堪りませんでした。
ともあれ、このCDは最近ライヴで演奏してきた感じで、バンド・メンバーと一緒にスタジオに入って録音するといった、今までの細野さんの音楽からするとめちゃ原点回帰?といった趣もある作品になっているようです。オマケに失われていた1940年代のアメリカのカントリー音楽(当時は日本は戦時下で、それらは敵性音楽として一般には聴くことが出来なかった訳です。)がベースにあるようなのです。もちろん細野さんのことだから単なるカントリーという訳でもなく、不思議なポップスになっているのは言わずもがなですが。
それにしてもこの作品、素晴らしいです。ツボを押さえた演奏もさることながら、張り上げないヴォーカル(僕のお手本にもなってる?笑)の渋いことといったら!そういえば、先日、女性のお客さんから「マスターの声、細野さんに似てますね。」と言われました。ちょっと嬉しかったです。(笑)
軽快なポルカ調のカントリー・ソング「ピストル・パッキン・ママ」から始まるこのアルバムですが、UAとのデュエット「夢見る約束」から最後のある種不穏な空気も漂う(UFO効果というものでしょうか?笑)曲「フォーカル・マインド」で終わります。ただ40分というLPサイズも良い方に作用しているようで、つい繰り返し聴きたくなります。そして一向に飽きさせないのです。
デジパック仕様のこのCD、ブックレットも充実していて解説や写真も素敵です。まさにアルバムと呼ぶにふさわしい作品です。これは名盤の誕生と言っても過言ではないと思います。
蛇足ながら今月号のミュージック・マガジンの特集も細野さんの特集です。細野さん本人が選ぶルーツの50曲と言うのがあって、それがまた楽しいものでした。興味がある人は是非読んでみてください。