ハート・オブ・ゴールド

bearsmick2007-07-26

僕は熱烈なニール・ヤングのファンではありません。が、時代ごとにいろんなことをやって来たニール・ヤングの音楽は、その時代時代で気になるものはちゃんと聴いてきました。
クレージー・ホースを従えたエレクトリックな轟音のロックも良いのですが、アコースティックでの繊細な楽曲も良いです。最近の作品はどちらかというとアコーステックな作品が続いていて、今回入手したDVD「ハート・オブ・ゴールド」は一昨年発表の「プレーリー・ウィンド」のプレミア・ショーの模様を「羊たちの沈黙」の監督で有名なジョナサン・デミが映画化したものです。ジョナサン・デミは、以前トーキング・ヘッズの「ストップ・メイキング・センス」というこれまた音楽映画の名作を作っているだけあって、音楽にも造詣が深く、尚且つ映像化/視覚化する才能に恵まれているのかもしれません。但しこの「ハート・オブ・ゴールド」は、奇をてらった映像は全くなくシンプルにステージ上のパフォーマンスをアップ映像を交えて映し出しているもので、落ち着いた感じが安心させてくれ、楽曲の良さを引き立てています。
そのショーが行われたのは、カントリー音楽のメッカ、ナッシュビルのライマン・オーディトリアムというところで、ここはかつて「グランド・オウル・オープリー」という有名なカントリー番組のショーが行われたところだそうです。その由緒あるところで優しくユッタリと演奏されるニール・ヤングの楽曲の数々と、その曲にまつわる語り、何回観ても飽きません。
ほんとに地味なくらい派手さとは無縁なんですよ。でもそれが良いんです。ニール・ヤングと言えばマーティンのD−45が有名ですが、最近は故ハンク・ウィリアムスのものだったマーティンのD−28を愛用しているようでこの映画でも相当の曲で使われています。ちなみにそのギターは「ハンク」と呼ばれていました。(まんまやん!笑)
周りを固めるミュージシャンも昔からの友人たちのミュージシャンたちで、出過ぎず抑え目の渋くて素晴らしいグルーヴィーな演奏をしています。コーラスには奥さんのペギー・ヤングやエミールー・ハリスがいて、これまた僕にとっては嬉しいものでした。
自分の心に正直に歌を作って歌い演奏する、そんなシンプルだけどなかなか出来そうで出来ないことを長きに渡ってやり続けているミュージシャンの典型の一つを観れる幸運を感じました。
ショーの終盤、ステージ上に揃ったミュージシャンが各自ギターを弾きながら歌う姿にフォーキーな音楽の良さを感じたのは僕だけではないと思います。