まだ夢の続き

bearsmick2007-05-17

僕が好きな日本の歌手/ミュージシャンの一人に小坂忠という人がいます。(久保田麻琴細野晴臣で僕のベスト3です。)その彼が自分の音楽人生を綴った半生記「まだ夢の続き」という本を出しました。近くの本屋さんに注文して取り寄せてもらい今日一日で読み終えました。
御存知ない方も御存知の方も多いかもしれませんが、GSバンド「フローラル」でデビュー後、よりロックなバンド「エイプリル・フール」(ここで細野さん松本さんと一緒になります。)を結成するもアルバム1枚で終わり、細野さんと松本隆さんは、「はっぴいえんど」を結成することになるのですが、シンガーとしては小坂忠さんを考えていたそうです。が、小坂さんは初のロック・ミュージカル「ヘアー」に出演するために「はっぴいえんど」参加を見合わせます。結果的に「はっぴえんど」のシンガーとして大瀧詠一さんが参加することになるので、その後の日本のロックやポップスを語る上で大きな分岐点になったのかもしれません。
その後、小坂さんも「フォージョー・ハーフ」(このバンドには、林立夫松任谷正隆といったメンバーがいて、細野さん、鈴木茂さんのはっぴえんど組と合体して、後のキャラメル・ママティン・パン・アレーと繋がっていきます。)というバンドを率いてジェイムス・テイラー系のカントリー・ロック・テイストな音楽で日本のロック界に新しい風を巻き起こしました。もちろん僕は当時から影響を受けて好きで、ライヴも見たものでした。
この本にもその当時の様子が書かれていて、それも確かに面白いのですが、僕が興味深く読めたのは、その後、クリスチャンになってからの教会音楽/ゴスペルの世界のことでした。
当時、クリスチャンになったと聞いた時は、「何故?」という疑問が大きかったからです。牧師さんになり教会音楽/ゴスペルの世界での活動しか見れなくなっても、レコードやCDでは、相変わらず楽しんでいたのです。(実際、1975年のアルバム「ほうろう」は傑作で、渋谷系のバイブルとも言われたものです。)レ・ピッシュのベースのタツ君と一緒に石川台にある教会に歌と説教を聴きに行ったこともありました。
その後、2000年を過ぎてティン・パン再結成のゲスト・シンガーとして参加したり、久し振りのポップ・アルバム「ピープル」を発表したり、狭山での「ハイド・パーク・コンサート」に参加したりと、いくらかは僕たちの前に姿を見せてくれるようになり、嬉しかったものです。
それだけにクリスチャンになった動機とかその間の活動とかに興味を持っていたのでした。そして、この本には、その答えがしっかりと書いてあり、納得することも出来ました。僕はけっして信心深いほうでもなく、特定の宗教に属している訳でもないのですが、愛や信じるということにはやぶさかではありません。娘さんの大やけどをキッカケにキリスト者の愛に目覚めた小坂さんの生き方に共感できたものです。
ミュージシャンとしての資質を使って宗教に生きている小坂さんだからこその音楽を楽しむことが出来るような気がします。
盟友細野さんとの対談も楽しく読むことが出来ました。文字が大きめなのも年寄りにはありがたい本でした。(笑)最後に大好きな曲である「機関車」の歌詞が(多分)小坂さんの直筆で掲載されているのにもグッときました。もちろん彼の歌を聴きながら読んだのは言うまでもありません。
一日で読み終わったのは、もったいなかったかなとも思いますが・・・。(笑)
夢は見続けていると現実になるかも、ね。