小さな町の小さなライブハウスから

bearsmick2007-02-20

というタイトルが付けられた素敵な本を読みました。アメリカはニューヨーク州ウッドストックという町の音楽やミュージシャンを好きになった著者(片山明さん)が、実際にそこで暮らしてミュージシャンにインタビューをしたりライヴを観に行っった感想などを取り上げたものです。
ウッドストックというと1969年の夏に行われたロック・フェスティヴァルが有名ですが、実はウッドストックでは開催できなくて急遽、ウッドストックから200kmくらい離れた場所、ベセルのマックス・ヤスガーさんの農場で行われたと言うのは有名な話です。で、何故、ウッドストックが特別な場所かと言うと大都会のニューヨーク市から2時間くらいで来れるにもかかわらず、大自然に囲まれた土地であることと昔から作家や工芸家、音楽家などのアーティストが集う場所だったからだそうです。
僕が好きなボブ・ディランザ・バンド、ポール・バタフィールドのベテーデイズやジェフ&マリアなど、(近所の)ベアズヴィル・レーベルやそこのスタジオで録音された音楽をウッドストックサウンドと言ってたりしたものですが、実は、60年代初頭のニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジやボストンを中心にしたフォーク・リバイバルを担ったミュージシャン(例えばハッピー&アーティー・トラウムの兄弟やジョン・ヘラルド、ジョン・セバスチャンなど)たちが、続々とウッドストックに転居してきて、そこで行われた自由なセッションやトラディショナルな音楽の継承がウッドストックサウンドの特徴になったそうです。もちろん僕も20代の頃、彼らの作り出す音楽が大好きで多いに影響されたものでした。
本当に小さな町だそうで、当時ほどではないものの現在でもたくさんのミュージシャンやアーティストは住んでいて、カフェやレストラン、ギャラリーなどでライヴも行われているそうです。
僕も九州の片田舎でバーを営みながら不定期ながら毎月1,2回のライヴを行っています。この本で取り上げられているようにミュージシャンがライヴをしつつ、CDも直接お客さんに売って、話をしたりサインをしたりしています。残念ながらお客さんの数は比較にならないほど少なかったりするのですが、当たり前のように日常に音楽やライヴがある生活を作っていきたいと思う姿勢は、この本に出てくるものと同じだと思っています。
TVやラジオから流れてくるものや流行のものも悪くはないのですが、もっとナマでイキイキとしたものも素敵です。古くから続くものを継承していくのも(けっして伝統芸能として閉じてしまうのではなく)楽しくて面白いものだと思います。
日本各地にも同じような小さな町の小さなライヴをやっている場所はたくさんあります。そんな場所を旅しながら歌い歩いているミュージシャンもたくさんいらっしゃいます。最近はオヤジ・バンド・ブームとか言われていますが、「昔は俺も(私も)・・。」と言っているアナタ、もっともっと人生に音楽を取り入れてみませんか。きっと充実した人生になるかもしれませんよ。
そうそう著者自身で装丁なさった本らしいですが(教科書みたいな感じも気に入りました。)、カヴァーを外した本本体の表紙に使われている、ウッドストック中心部のヴィレッジ・グリーン?に集う人たちの写真の右側に、デッドヘッズと思われる人の姿を発見しました。何故分かったかって?だってSYFを腰の辺りにぶらさげているんですもの。オマケにロン毛だし。(笑)