ロックを生んだアメリカ南部

bearsmick2007-02-15

という本を読みました。プレスリーから始まってディランで終わると言う構成で、その中にブルース、ジャズ、ゴスペル、カントリーと、その後のロックを形作る各要素の音楽とその背景が描かれています。
今までもずいぶんロックやブルース、R&B、ソウルなど音楽にまつわる本は読んできたのですが、アメリカの歴史と文化を現代のルーツ・ロックに繋がる流れで分かりやすく書いてある本という意味では、本書は良く出来た一冊だと思います。初めて知る事実もあり、これまでの自分の中の知識も再構成してくれるものでした。
もちろん音楽ですから、聴いてナンボなものだということは分かっています。でもその背景を知ることでなお一層の理解が深まり、その良さに気づくことも多々あります。
なぜ、僕がルーツ音楽に興味を持ち楽しむことが出来るのかの答えが、最後の最後に用意されていました。それは、「人間はただ一人で自分の存在の無意味さに耐えるほど強くない。しかし、たとえ故郷に帰れなくても(Homelessness)、土から切り離されても(Uprootedness)、そしてまた、愛するものを失っても(Blues)、その喪失の切実さを分かち合う人々がいる限り、私たちは生きることが出来る。音楽が愛と言う言葉と結びつくとすれば、そういう意味であろう。哀しい音楽がなぜ楽しいか。美しいからだ。そして心のありようを偽らずに伝えようと模索するからだ。ルーツ・ミュージックはそうした単純さを失わない音楽だ。」というものです。
本書を書いた二人はアメリカ人のジェームス・バーダマン(日本に来てから、自分のルーツである南部の研究を始めたそうです)と村田薫という人で、僕と同世代の早稲田大学の先生です。ということは二人ともにロック世代でもあるわけで、大きな要素だと思いました。
お値段も¥1120+税(NHKブックス)ととてもお手頃です。アメリカ南部の音楽が好きでDSD(ディープサウス・ドランカーズ)という名まえのバンドをやっている僕のような人だけじゃなく、ロックが好きな人には、是非読んでもらいたい一冊である事は間違いありません。