ボブ・ディラン/モダン・タイムス

bearsmick2006-11-03

ここにも何回か登場しているかと思いますが、元プロのドラマー(現在はジャンベの奏者としても活躍中です)で人吉市街で焼き鳥屋さんを営んでいらっしゃるTさんという人がいます。そのTさんが、最近また良く仕事帰りにベアーズに寄ってくれるようになりました。もっともクルマでの通勤なので普段は仕事上がりのコーヒーを一杯飲んで帰られるだけですが。
もちろん音楽、それもロックが好きな方なので、寄ってくださるごとにリクエストされます。歌心あるドラムを叩く人だからか、ジャクソン・ブラウンやJ・J・ケイルが好きで、そのどちらかのリクエストが多いのですが、最近たまたま、ボブ・ディランの新譜「モダン・タイムス」を一緒に聴いていたところ、凄く気に入られた様子です。
残念ながら、僕は聴いただけでは歌詞が聞き取れ無いので、歌の内容はまだよく把握していないのですが、そのサウンドとディラン特有の言葉の乗せ方だけでも、一聴して名作だと思っていました。
5年ぶりのオリジナル作品ということになるのでしょうか(とはいうもののCDとDVDで出た作品「ノー・ディレクション・ホーム」や映画「ボブ・ディランの頭の中」、さらには自伝も出たので、久しぶりという感じはあまりしませんでしたが。)、このアルバムはコレまでのディランの作品の集大成的な感じがします。今まで取り組んできた作風を一挙に見せて/聴かせてくれている、そんな気がするんです。ブルースをベースにしたものやスロ−なバラード、まるで映画に使われているようなイメージが広がっていくような曲など、盛りだくさんです。とても65歳のおじいさんが作ったとは思えないくらいの充実した作品だと思います。
一見何の変哲もないような曲でも、けっこう細かいところに凝った作りになっていたり、各種楽器のアンサンブルを考えてあったり、聴けば聴くほど楽しく面白くなってきます。Tさんの指摘で分かったのですが、ドラム・パターンも新しいというか古いというかある種摩訶不思議な感じで、そのグルーヴ感を醸し出すことに一役かっているようです。もちろんディランの歌もいろんな歌い方をしていて、「なんだディランってやっぱり歌上手いんじゃん。」という感じです。(笑)
そのTさん、コーヒーを飲み一服して、静かに目を閉じて音楽の世界に入っていきます。本当に音楽が好きなんだなぁと思う瞬間です。
そういえば、今月27日にベアーズ・カフェでライヴをやる予定の豊田勇造さんから電話があったんですが、勇造さんの第一声も「今度のディラン聴いた?凄く良いよね、最近じゃ一番なんじゃない?」というものでした。ディラン好きにはたまらないプレゼントだったことは間違いないでしょう。老いてますます盛んなディランに負けていられないぞと自分を叱咤激励しながら頑張ってみようかな。(笑)