コンサート・フォー・バングラデシュ

bearsmick2006-01-18

先日の「モンタレー・ポップ・フェスティヴァル」に続いて、今年買ったDVD「コンサート・フォー・バングラデシュ/ジョージ・ハリソン&フレンズ」のことを、ちょっとばかり。
ロック界で世界最初の大きなベネフィット・コンサートであるバングラデシュ難民救済コンサートが、元ビートルズジョージ・ハリソンのところに彼のシタールの師匠でもあるラヴィ・シャンカールノラ・ジョーンズのお父さん)からの提案があり、ジョージ自らが動いて1971年8月1日にニューヨークのマジソン・スクウェア・ガーデンで行われました。
その模様は映画にもなりそのサウンドトラック盤としてLP3枚組のレコードとして翌年72年には発表されました。
1972年というと僕が田舎の高校を卒業して東京の大学に進学した年です。いきなりの都会生活でロック・コンサートやライヴ、そして映画館に嬉々として通うようになったものです。そんな訳でこの映画も有楽町のスカラ座かスバル座へ出来たばかりの友人と一緒に行った覚えがあります。ロード・ショー(封切り)の映画館には、値段の事もあって(当時は名画座では¥100で3本立てとか観れました。)めったに行けなかったのですが、さすがにこの映画は大好きなボブ・ディランも出ると言うので張り切って行ったのでした。そしてちゃっかり2回観てきました。
そんな自分の青春時代の思い出深い映画が、昨年の暮れにDVDとして出されました。バッチリ画像も良くなっておまけの映像やコメントも付いています。これもまたさんざんヴィデオでは見てきたものなのですが、さすがにDVDは凄いです。改めて見てみるとその豪華なステージはハッキリとしたジョージ&フィル・スペクターによる意思によって作り上げられたものだということが分かります。
ビートルズ解散後、最初にソロ・アルバム「オール・シングス・マスト・パス」を出し、成功を収めたジョージは、自信を持ってこのコンサートにも挑んだのでしょう。そのアルバムでも窺えたその時代のトレンドでもあったスワンプ・サウンドフィル・スペクターのたくさんの楽器で奏でる「ウォール・オブ・サウンズ」をステージで再現しているのです。
ミュージシャンたちもリンゴ・スター、ボブ・ディラン、エリック・クラプトンビリー・プレストン、クラウス・フォアマン、バッドフィンガーといったビートルズ人脈からレオン・ラッセルをはじめとする所謂シェルター・ピープル系のミュージシャンやシンガー、ジム・ホーンを中心とするホーン・セクションなど多数の人たちが参加しています。個人的にはジェシエド・デイヴィスが地味ながらそのギターで演奏の根っこの所を支えているのが窺えて嬉しかったです。
当時、映画を観て、そのファッションを真似したディランはやっぱりかっこ良かったです。ホワイト・ジーンズにGジャンというファッションでエレキのジョージ、ベースのレオン、タンバリンのリンゴを従えて、ちょっと気難しそうな顔で歌う姿にはカリスマがありますね。ディラン自身久しぶりのライヴだったらしく緊張している様子がボーナス映像で窺えました。リハーサルでジョージと一緒に「イフ・ノット・フォー・ユー」を演奏している様子もファンとしたらありがたい映像でした。
音楽で世界が変えられるかもしれないと思っていた最後の時代かもしれません。でも変えられなくても変えるきっかけにはなりえることを示してくれたイベントであったことは確かです。その後の例えばライヴ・エイドなどの大規模なチャリティーのロック・イベントのさきがけとしても重要なイベントだったのは間違いありません。
CDも出たのですが、CDは買っていません。今回の収益もまた少しはユニセフに回せるのでしょうか?35年たっても世界には救済が必要な地域がなくならないのが残念です。
ともあれこのDVDを観て、音楽が持っている良い意味でのパワーを自分にも注入したいと思います。

DVDとLP、やっぱりLPサイズのブックレットは良いなぁ。