我が生涯のこの一枚。

bearsmick2004-11-14

長いこと音楽系の飲食店を営んでいると、お客さんからよく「ところで、マスターはどんな音楽が好きなの?」とか「誰が好きなの?」とかの質問を受けます。ベスト3とかベスト5とかベスト10とかだったらその時々で変わったりするんですが、一枚だったらコレっていうのはあります。
さて何でしょう?って写真出てるって。そうです、ボブ・ディランの名盤「追憶のハイウェイ61」です。今じゃ、さすがにそう頻繁に聴いているわけではないのですが、音楽との付き合い方を決定的に変えてくれ、かつその後の人生をも決定したようなインパクトを与えてくれた作品だからです。

出合ったのは、僕がまだ高校2年生の頃かな。それまできちんとしたオリジナルな形では出ていなかったディランのアルバムがCBSソニーから毎月一枚づつ発売されるようになって、それまでは「俺はコレを買うから、君はコレね。」と尾城君と分担して買っていたのに、このアルバムは二人とも「俺が買う。」と言って譲らなくて、結局、二人とも買ったんでした。(もちろん、それまでにシングルや4曲入りコンパクトEPといったもので「ライク・ア・ローリング・ストーン」なんかは聴いてはいました。当時では破格の6分もある「ライク・ア・ローリング・ストーン」はなかなかラジオで全部はかけてもらえなかったんですが、RKKラジオ(熊本ローカル)の洋楽番組で尾城君のリクエストによる完全オン・エアーが実現したのです。おまけに尾城君は電話での出演も果たし翌日の学校で一躍スターになったんでした。一部の音楽好きの間でですが)

はっきりいってディランの歌詞はよく分からないところもあるし、顛末を聴くものに委ねるものも多いので、果たして自分が理解しているのかどうか今でもよく分かっていないのですが、それでもビートにのせる言葉使いとか、今までにない新しいナニかとかは充分伝わってきたものです。なんといってもロックを感じさせるサウンドとヴォーカルがピカイチです。作品の出来でいうと次作の「ブロンド・オン・ブロンド」のほうが完成度は高いかもしれませんが、個人的にこの作品が最高だと今でも思っています。