フォーク・シンガー

bearsmick2014-03-12

辻井貴子とのデュオ「やぎたこ」では、各種弦楽器をとっかえひっかえしつつアメリカの古い音楽/歌世界(例えば南北戦争時代の楽曲など)を再構築し再現するライヴを行っている、岩手在住のやなぎのソロ・ライヴでした。
「やぎたこ」とは違って、今夜のやなぎは、古いギブソンアコースティック・ギターB-25一本だけで、フィンガー・ピッキングやベース・ランニングを上手く使ってのコード・ストロークでの素晴らしい弾き語りを披露してくれました。

そしてそこで歌われる楽曲は、自身のオリジナルをはじめ、1970年代のシンガー・ソングライターの名曲やフォーク・ソングだったりするのですが、「やぎたこ」と違って、ソロでの歌は、ちゃんとやなぎ自身の日本語になっているところです。
岩手在住ということながら、3年前の東日本大震災には直接的な被害にはそう合わなかったというやなぎですが、もちろん多数の友人知人がその地にいる訳で、音楽活動をするにあたって、そんな彼らから聞いたり話したりしたことを多数のメモに残していたそうです。そしてそのメモの中から言葉を紡いで10分あまりの歌に仕上げていました。
僕のようなその当地にいない者にとって、その赤裸々な言葉はダイレクトに伝わって来ます。ニュースや新聞などでしか一般的には知ることが出来ない状況を、こうして生の声で歌ってくれるシンガーこそ、現代のホンモノのフォーク・シンガーと言えるのかもしれません。

残念ながら今夜やなぎの歌を聴きに来て下さったお客さんはそう多くなかったのですが、機会があったら是非彼の歌に耳を傾けてもらいたいと思います。