ボブ・ディラン/フォーク・ロック

bearsmick2005-07-26

昨日は忘れていたので、今日取り上げることにします。
40年前の7月25日のニュー・ポート・フォーク・フェスティヴァルにポール・バターフィールド・ブルース・バンドをバックに登場したボブ・ディランが、そのエレクトリック・サウンドにブーイングを浴び、泣く泣くアコギ一本で「イッツ・オーヴァー・ナウ、ベイビー・ブルー」を歌ったそうです。
以前、ココでも取り上げたディランの「ハイウェイ61」(僕の大好きなアルバム)の一つ前の作品である「ブリング・イット・オール・バック・ホーム」は1965年に発表されたアルバムで、まだアコースティックなフォークからエレクトリックなバンド・サウンドへの過度期にあたるものではありますが、高校時代の僕にかなりの影響を与えてくれた作品には違いありません。(以前、書いたように当時の日本ではちゃんとした形でのリリースがなされてなくて、1970年くらいになって、ようやく毎月一枚のペースでオリジナルの形でのリリースが行われるようになったのです。)
サッチャー政権下の英国で流行った「マギーズ・ファーム」(マギーの農場で働くのは真っ平だ!マーガレット・サッチャーへの当てこすりですね)をはじめ「サブタレニアン・ホームシック・ブルース」などのブルース・ベースのR&Rサウンドが半分、「ミスター・タンブリン・マン」などのようにアコギにエレキやベースがはいったもの、そしてそれまでのようなアコギによる弾き語りスタイルの曲などによって構成されたこのアルバムは、もちろん完成度という意味では、その後のアルバム「ハイウェイ61」や「ブロンド・オン・ブロンド」(そういえば先日のモジョハウスのシンちゃんが、その中の「アイ・ウォント・ユー」を歌いたいといって、店でレコード聴いてコードを探して歌詞を書き写していました。来年のライヴでは聴けそうです。ウン楽しみ!)には劣るのですが、フォーク・ロックの誕生という意味では重要な意味を持つアルバムに違いありません。吉田拓郎も聴いたんだろうナァと思わせる「エデンの門」なんて曲もあります。
それまではアコギというとフォークかカントリーという感じだったんですが、アコギでロックする気持ちよさを教えてくれたものでした。
元々、プレスリーやR&Rに憧れて歌を歌い始めたというディラン、フォーク・ブームに沸く世間を置き去りにして、自分の世界を構築するようになるきっかけともなる一枚かもしれません。歌詞もだんだんシュールになって意味も良く分からなくなるんですが、上手く言葉をビートに載せるディラン流のフォーク・ロックが本格的に始まったのです。もちろん僕も、「ミスター・タンブリン・マン」よろしく新しい世界に連れて行かれたのでした。