海賊盤

bearsmick2007-11-19

先日、お客さんのリクエストに応えるべくレコード棚を漁っている時、最近は全く聴いていないレコードの存在に遭遇しました。それは所謂、海賊盤またはブートレグと言われるもので正規に発表されたものではない音源です。
ミュージシャンにもレコード会社にも利益をもたらさないし違法なものが多いのですが、ファンにとっては珍しい音源がライヴやスタジオ共にあったりするので、つい手が出たりする類のものでもあります。東京の西新宿辺りにはそういったマニアックなモノを扱うレコード屋さんも相当あったように思います。もっとも僕はそのようなマニアックな趣味はないのですが。
とはいうものの昔は僕も、好きなミュージシャンの海賊盤を買った事はありました。一番最初は、大学受験で上京した時に記念にと、御茶ノ水のディスク・ユニオンで買ったボブ・ディランのものでした。買ったものの音が悪くてあまり聴いた覚えがありません。なんせ受験の思い出の品ですから。でもこのLPは紫のヴィニール盤だったのがカッコ良かったものでした。(笑)
次に入手したのが何だったのかは覚えていないのですが、現在手元にある海賊盤LPは、ビートルズのライヴ、グレイトフル・デッドのライヴ、リトル・フィートのライヴ、そしてローリング・ストーンズのライヴです。CDの時代になるとより音質も良い物が出回るようになったので、好きなミュージシャンやバンドのものを、やっぱりちょっとだけ買った事はありますが、今回はLPということで。
 
左がボブ・ディランのもの。1964年のニューヨークのスタジオ録音と1966年のダブリンでのライヴのカップリングでした。右はビートルズ、多分1965年か66年のコンサートのもので、キャー・キャーという歓声が大きく入っていて臨場感はあります。(笑)
 
左はグレイトフル・デッドのライヴで僕が好きな曲ばかりが入っています、多分70年代初頭のライヴでしょうか。右はリトル・フィートで、このLPは、あの松平さんがブラックホークでかけた唯一の海賊盤かもしれません。音質もマァマァでなにより圧倒的なライヴ感(そう広くないところでの70年代中頃のライヴみたいです)が素晴らしい海賊盤です。
以上の4点は、60年代から70年代にかけてのもので、白いボール紙のジャケットに入っていて、スタンプが押されたりチャチなプリントの紙が貼ってあるだけの見るからに海賊盤という体裁でしたが、冒頭の写真のローリング・ストーンズになるとジャケットはカラー・プリントになりLPも3枚組になっています。これは1981年のアメリカ公演時のもので、たっぷりと楽しめるようになったというかマーケット的にも確立されたということなんでしょうか。
先述したように1980年代も中頃になるとLPからCDの時代に変わっていくので、海賊盤もCDに時代を迎え時間的にも音質的にもいいもんがたくさん出回るようになったのです。
ですが、海賊盤はあくまで海賊盤で、ミュージシャンにもレコード会社にも益はもたらしません。海賊盤自体にも劣悪なものもありファンにとってもありがたいものばかりではないのです。そういった情況をふまえて、例えばグレイトフル・デッドが始めたようなコンサート会場で録音してもいいからそれを海賊盤としては売ってはいけない、ファン同士でのトレードなら許す。という関係も出来上がったのです。
ファンとすればいろんな音源を聴きたいというのもよく分かる気持ちなので、グレイトフル・デッドのスタンスはありがたく素晴らしいと思うのです。もちろん正規に発表される作品は買わせていただきますよ。(笑)